「エロゲー業界の衰退」論
最近「エロゲー業界は衰退した」という内容の記事やツイートを度々目にする。
自分も初心者ではあるがえっちなゲームを齧るオタクではあるので、その様な記事を見る度色々と思う事がある訳だ。
なので業界衰退に関しての記事やらを色々と漁ったので纏めてみた。
最終的には個人的な意見になるのでその点留意してもらいたい。
なんか面白い読み物だなぐらいの感覚で読んでね。
1.本当にエロゲー業界は衰退しているのか
まずココが事実かどうか確認しないことには話が進められないので、本当に衰退したかどうかという話から。
この記事がデータをちゃんと引っ張ってきて書かれていて参考になる。
ただ矢野研究所のデータは結構杜撰であるという声も見られたので信用に足るかどうかは微妙だ。
上記の表ではダウンロード販売の実績を含むが、下記はダウンロード販売のゲームが入ってない。
---法人概要/審査実績--- EOCS/一般社団法人コンピュータソフトウェア倫理機構オフィシャルウェブサイトより
これらの記事をまとめるとダウンロード販売が伸びはしているものの、全盛期(2002年)に比べ衰退の傾向にあることは否定できないという結論に至る。
最近様々なブランドが潰れてる事もこの業界が廃れているのを証明しているだろう。
また、エロゲー業界の衰退を裏付けるものとして関連する雑誌の減少も挙げることが出来る。
少し前のモノではあるがこの記事によると13誌中7誌が休刊と、ほぼ半分の雑誌が休刊になっている。
インターネットに媒体が移り変わっているとは言え、ここまで休刊が増えているという事実はやはり業界の衰退を裏付けていると言って良いだろう。
電撃姫とPUSHの休刊は本当に悲しかった。
2.違法ダウンロードとエロゲー
業界衰退の話になると必ずと言っていい程話題に挙がるのが違法ダウンロード。
違法ダウンロードとエロゲーに関する話は明確な統計がある訳でもなく、業界人による意見が多い。なので似たような話題がよく上がる音楽業界の記事を参考にしてみる。
上記の記事らでは違法ダウンロードは売上にはさほど関係しないと結論付けている。だがぶっちゃけこの話も人によって意見が変わってくるのが現状だ。簡単に答えが見つかる話題ではない。
個人的にはこの意見に同意で、違法ダウンロードでコンテンツに触れる層は本質的には顧客ではないと思っている。簡単に手に入るから手を出すだけで、違法ダウンロードという手段が無かったらそもそもエロゲーなんて買わない人達ばかりだろう。
ただ音楽や映画に比べ業界が小さく、一本あたりの単価が高いエロゲーの場合、違法ダウンロードの与えるダメージがより大きいのは事実なのかもしれない。
だがいちユーザーとして言わせてもらうと、音楽業界もエロゲー業界も違法ダウンロードを盾に言い訳をしすぎではないだろうか。
3.他媒体とエロゲー
エロゲと良く似た媒体であるライトノベルやソーシャルゲーム。果たしてこれらはエロゲー衰退に関与しているのか。
この記事が自分の意見にかなり近い趣旨でまとまっている。
衰退論では「他のジャンルに客を取られている」という言い方をするものが多くあるように思われるが、個人的にはこの「客を取られた」という言い方は的を射ていない気がする。
ラノベだけ、ソシャゲだけ、アニメだけ、なんて手の出し方をするオタクは見たことがない。オタクは強欲なので話題性のあるジャンルには全て手を出す。競合が成立する様な業界ではないと思う。
取られたというよりは、魅力がないので顧客が手を出さなくなったという方が正しい。
またスマホの普及によりPCを必要としない人口が増えた。その結果としてライトなオタクが増えたので、エロゲーにまでたどり着くヘビーなオタクが生まれ辛くなってしまった。エロゲーなんてキモいオタクしかやらんもん。
周りがソシャゲとラノベの話ばかりしてたら話題性のある方に手を出す人が増えるのも道理。
あとソシャゲの射幸心を煽るガチャシステムに人間は敵わない。はやく法律で禁止してくれ。
4.結論
つまりのところエロゲーに最先端のコンテンツとしての話題性が無くなってしまったのだ。
違法ダウンロードやラノベ、ソシャゲ、などといった他の要因のせいでエロゲー業界は衰退したのではなく「昔から全く変わらない媒体である」という点が大きな要因だと考える。
隆盛期の型を追ってばかりいるので、目新しいものが生まれずテンプレに沿った作品ばかりになってしまう。その結果、他の媒体にまで影響を与えるような作品が生まれない。だから話題性や魅力がない。
店舗特典一つとって見ても未だに店舗特典としてテレホンカードが存在したりしてるのは大分おかしい。
内容が無いのに無駄に長いキャラゲーに多くの人は関心を持たない。
麻枝奈須丸戸るーす虚淵ロミオあたりのキラータイトルを生み出したライター達がこぞってアニメやラノベ業界に行ってしまった影響も少なからずあるだろう。
発売の延期が普通になってしまっている様なこんな業界は衰退して当然、と少しは思わなくもないが悲しいものだ。
業界が衰退したと感じている人が大多数居るという状況こそが、実際にこの業界が衰退している事を暗に証明しているのではないだろうか。
というか本来盛り上げる側の作り手に、衰退論について言及して欲しくはない。
5.今後の展望
なんか衰退したで書き終えるのも暗くて嫌なのでこの業界での成功話を紹介。
最近エロゲ業界(?)で驚いたのが「ネコぱら」がSteamで150万本以上を売り上げたというニュース。まだ未開拓の市場である海外に着手して大成功している。
「ネコぱら」正確には同人ゲームであり、その上Steam版は全年齢なので主題からは少しズレてはいるのだが。
この辺からKickstarあたりでエロゲの海外翻訳プロジェクトが目に見えて増え始めた気がする。
他のブランドもなんかこんな感じで新しいことに着手して業界が衰退してるなんて言われないよう頑張ってほしいものである(丸投げ)